最低賃金と生活保護

2009年07月21日(火)

最近の報告(09年)では、生活保護を下回る最低賃金の地域が12都道府県に拡大した、とある。これでは働く意欲が衰え、所得格差が拡大し、社会不安が広がる要因にもなるのは防げないだろう。

厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会では、使用者側と労働側とでその見直しについてがいつももめている。
そのもめ方は審議会ができてから定型のパターンである。

「最低賃金法」は昭和34年に成立した。これは労働基準法(22年)の趣旨を体し、明分化されたものである。

最賃法の第一条には、
「賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」
と書いてある。

一方、生活保護法(昭和25年)の第一条には
「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮する全ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」
と書いてある。

ともに国民の生活の安定に寄与することを唱っているが、内容は月とスッポンである。
最賃法は労働することによって獲得する賃金であるのに、生活保護法は、生活困窮者に税金で生活を保障する、ということになっている。
最低賃金は、労働の対価として受け取っているはずのお金である。
片や生活保護は全て税金で賄われる。
その賃金が、生活保護費より安いという結果は、社会制度の重大な欠陥と言えるだろう。

審議会の使用者側はそんな社会的責任を感じていないのだろう。
なぜなら、生活保護法と最低賃金法は別の役所の問題であり、関係ないという姿勢だ。

話しが少々飛躍するが、昔の会社は会社それぞれに、社会的責任を担っているという自負があった。今でこそ古い、非近代的な賃金体系と排撃されているが、その典型に
基本給の他に
①家族手当があった。その支給内容として
 (1)配偶者
 (2)60歳以上の直系尊属
 (3)18歳未満の直系卑属
 (4)18歳未満の弟妹
 (5)2親等以内の同居親族で不具廃疾者
こんな家族を抱えている労働者に手当を支払うというのだ。

もちろんこれは「労働の対価」として払うのではなく、生活給として支払うのだ。理不尽な内容と言えばもちろんそうだ。だが、今の賃金が労働の対価として確実に評価されて支払われているか、といえばそうではあるまい。
職務分析、職務評価などを経て賃金計算をしているか、といえば全く嘘である。

審議会の最低賃金の決定方法は単なる過去の額に積み上げていく方式だ。
労働の対価として構築されていないだけに、ワーク・シェアリングの導入なんかが難しいのだ。

昔の会社は従業員が食えるような仕組みを作っていた。
今の会社は「最賃」に引っかからないようにぎりぎりの工作をして、労働者を使っている。
これでは「愛社精神」「帰属意識」なんか生まれようがない。その果てはサービス残業、過労死問題が起こってくる。

グローイングパートナー顧問

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